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2.閉ざされた財務局復帰への道

ところで、今回の件で私が後見業務を失ったと前回書きました。 それは私自身にとって大きな痛手であるとともに、私の顧客にとっても大きな心痛ではあるのですが、もう一つ、実はもっと大きな損失があると考えています。


私は2年ほど前まで関東財務局に非常勤職員として勤務していました。 今話題の近畿財務局と同じで、関東版です。 非常勤職員というと、ときどき仕事のあるときだけ出勤するようなイメージもありますが、公務員における非常勤職員というのは、民間での契約社員のようなもので、1年更新の非正規職員です。 よほど大きな問題を起こさなければ基本的に毎年更新されますが、5年で雇い止めです。


それはさておき、財務局で国有財産(国有地)を扱っていることはかなり周知されることとなりましたが、一般の方には国有地など関係ないと思われているでしょう。 ところが実は意外に身近なところにもあるのです。 昔の田畑にあった畦畔(あぜ)や、赤道などもその一つですが、ここでは省略します。 私が問題視していたのは相続税の物納です。


物納とは、相続税を現金で納められないときに、不動産などの現物で納めることです。 物納される土地の中には、借地人のいる物件、つまり他人に土地を貸していて、借地人が土地上に建物を建てているような物件があります。


物納を受けた国は、相続人に代わって地主となり、地主としての業務を財務局が行います。 土地を売却できれば一番いいのですが、そうでなければ地代の回収という業務が発生します。


借地人は高齢化して、資力に乏しいことも多く、地代の滞納も少なからず発生します。 滞納があっても財務局は厳しい督促をしようとはしません。 何年も滞納が溜まったところで、仕方なく追い出しにかかります。 そのときには滞納も百万単位になり、借地人には既にどうすることもできなくなっています。 本当はもっと早い時期に根本的解決を図れば何とかなったかもしれないのに。


そこで本題です。 私が後見業務をやってきた中では、金銭管理ができずに家賃や税金の滞納を増やしてきたような方も少なからずいました。 私は後見人として、少ない収入の中でも、きちんと管理すれば滞納を整理し、生活を再建して福祉の向上につなげることをしてきました。 あいにく財務局職員にはそういうノウハウがなく、単に債務者が気の毒だからと、督促を緩めることしかできませんでした。 市の高齢者福祉の担当部署と連携して、市の負担で後見人をつけるなどという発想はありません。 私も財務局にいた当時は、残念ながらそのあたりの知識を欠いていました。 後見人の経験のある今だからこそ、財務局のために、数多くの国民のために、前回よりも役に立てると考えたのです。


後見業務を失ったこともあり、私は財務局の非常勤職員募集に応募しました。 今まで書いてきたこともアピールして、ただし事件のことは伏せて、私は合格の連絡をもらい、指示されたとおりに健康診断も受けてきました。 ところが数日後、再度面接をするからと呼び出されたのです。 私は、調べたな、とすぐにわかりました。 財務局には、何かのときのために反社会的集団(いわゆる暴力団)に関する情報収集機能があり、方法はわかりませんが犯罪歴なども調べることができるようです。 私に犯罪歴はありませんが、おそらく警察から情報を得ることができるのでしょう。 もっとも、私の場合は裏のルートを使わずとも、ググればすぐにわかりますが。


財務局も私のスキルは使えると考えたはずですが、それよりも体面を重んじ、私を不採用としました。 私の入るはずだった部署は、関東各地の財務事務所を臨店して、個別事案の対処についてアドバイスをしたりもしています。 私に救われたかもしれない多くの債務者の方には残念で仕方ありません。


もう一つ、私はかつて、取扱事件の集計機能をaccessで組み、報告書類の作成を劇的に効率化させたのですが、その操作を引き継いだ後輩の非常勤職員が今回退職します。 おそらく次に引き継いだ者には、何か操作上のトラブルがあってもリカバリできないでしょう。 報告担当の正職員には気の毒ですが、昔に戻って数日間遅くまで電卓でがんばってもらうことになります。割を食うのはいつも現場の実働部隊です。


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