HOME > 報道の裏にある真実 > 3.件の女との関わり

3.件の女との関わり

事のいきさつを細かく書いていくつもりでしたが、個人が特定されることはないとしても、依頼人との関係ではどうしても濁さざるを得ません。 その辺は隔靴掻痒と言わざるを得ないところです。


発端は、私がある男性から仕事の依頼を受けたことにあります。 その男性は、離婚する妻に損害賠償請求をしたいと言いました。
妻が婚姻中の費用負担を全くしないため、多大な経済的損失を被り、現在も多額の負債が残っていること。
その後に部屋を借りたが、妻が出て行ったので自分一人では家賃を払っていけないこと。
もともと妻はほとんど家事をせず、料理もろくにしなかったこと。
猫を飼いたいといって飼い始めたのに、世話をせずに結局自分が引取っていること。


他にも多くの理由があって、既に別居もしており離婚するということでした。 そのため、内容証明で損害賠償と慰謝料の請求をしたいというのです。


話を聞く限り、とんでもない女だと思いましたが、女にも言い分があるかもしれません。 とりあえずは彼の主張を入れて、内容証明郵便による請求文書を送ることにしました。


郵便が届くと、早速相手方の女から連絡がありました。 内容について詳しく話を聞きたいといいます。 私の事務所まで来る足がないというので、こちらから訪問することにしました。 こういう話はなかなかファミレスとかではできません。 請求金額をそのまま飲むとは思えないので、周囲の耳もあるし、途中で泣き出すこともあるからです。


会って話を聞くと、夫の請求はそのまま受け入れ、ただし、分割でないと払えないという話でした。 少し拍子抜けしながら、夫に報告するために現在の生活について話を聞きました。 昼間の仕事だけでは家賃を払いながらの生活が厳しく、週に何回か夜も仕事をしているそうです。 部屋は一人暮らしには余る広さながら、家具らしい家具は無く、掃除もあまりしていない感じでした。 カーペットもない埃だらけの板の間に正座しているのはなかなかの苦痛です。 分割の条件を聞いて、早々に部屋を後にしましたが、事態を真剣に考えているのか、約束通り払っていけるのか、極めて怪しい感じでした。


支払方法について夫の了解が得られたので、分割払いの契約書を作成することになりました。 契約書に調印のために再度訪問した際、あらためて室内を見渡すと、越してきて1か月くらいたつはずなのに窓のカーテンは一部しかかかっておらず、荷物は引っ越しの段ボールに入ったまま。 キッチンにはコンロも調理器具もなく、お菓子の袋が山積みです。 契約書に調印して私の業務はそこまでですが、このまま生きていけるのか心配になり、そこから少し話をしました。


聞けば、離婚によりいろいろと手続が必要になるが、何をすればよいか全くわからないとのことです。 話していても女の社会常識の欠如は明らかで、この女に戸籍のとり方を一から教えたら自分でやった方が何倍も早いと思いましたが、仕事として依頼を受けたら私への報酬が発生し、夫への支払いが滞ることは目に見えていました。 このまま見捨てても同様の不安があります。 それでは依頼人のためになりません。目の前の女が生活を維持できることが依頼人に必要なのです。 依頼人の請求を満額負担させたことにも若干の負い目を感じていました。


「あなたは依頼人の相手方なので仕事として面倒を見ることはできないけれど」と言って、とりあえず戸籍謄本等はこちらで取ってあげることにしました。 通常、行政書士が業務で戸籍謄本等を取得するときは「職務上請求書」というものを使います。 弁護士や司法書士などと同様、本人から個別の委任がなくとも戸籍謄本等を取得することができます。 その利用は厳しく管理され、悪用すれば懲戒の対象になります。 本件は業務外ですので、本人から委任状をとり、一個人として戸籍の申請をしました。


さらに話を聞くと、物干し竿がないので洗濯物が外に干せない、ドライヤーがないので風呂上りに髪を乾かせない(秋が深まりかけて夜は冷える季節でした)、コンロがないので湯もわかせない、 Wi-Fi工事はしたがPCのつなぎ方がわからない、テレビが無いので持ってきたDVDが見られない、早くテレビを買ってHuluが見たい、休日は寝転がって菓子を食べている等と言います。


テレビはともかく、健康を害されたら、給与が日給だか時給だかなので、収入に響きます。 それは困るので物干し竿やドライヤーを調達しました。何しろ女は車が無いので大きな買い物はできません。 ドライヤーは「家宝にする」などと大げさに喜ばれたので、こちらも調子に乗ってしまいます。 PCをネットに接続し、DVDはPCで見られることを教え、HuluがPCやスマホで見られることも教えました。 放置されていたカーテンもかけてあげました。女はこれを行政書士の相談業務と思っていたのだろうか。


<< 前へ  次へ >>